2022年より放映が開始された人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険 第6部 ストーンオーシャン」ですが、2023年4月に放映された、第38話「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」をもって最終回を迎えました。
人気タイトルシリーズのアニメ化ではありましたが正直なところ、そこまでの盛り上がりは感じられず、ネットでの評価を見ても、「ジョジョ6部のアニメはひどい」といった意見が散見されております。
そこで今回は、「なぜジョジョ6部のアニメは低評価が目立つのか?」について推察を交えお届けしたいと思います。
ジョジョの奇妙な冒険とは?
「ジョジョの奇妙な冒険」は、原作者・荒木飛呂彦氏の漫画です。
仲間たちとの絆や強敵との死闘など少年漫画の王道ながら、「ドドド…」や「メメタァ」、「ズキュウウウン」といった個性的な表現やホラーサスペンス仕立ての独自な世界観で描かれています。
1986年に週刊少年ジャンプで連載が開始され2004年まで継続的にシリーズを発表。2005年からは集英社の青年向け漫画雑誌ウルトラジャンプに移り現在に至るまで長期連載されています。
第6部ストーンオーシャンの概要
第6部「ストーンオーション」は第3部にてディオを倒した空条承太郎の娘にあたる空条徐倫(じょりん)と、ディオの残党や後継者との戦いが描かれております。舞台は第5部のイタリアからアメリカに移り、第1部からのジョースター一族とディオの因縁に決着がつくシリーズとなってます。
恋人とのドライブ中に不慮の事故が起き轢き逃げと窃盗の罪で起訴されてしまった徐倫は、無実を訴えるも恋人と弁護士がグルになり有罪判決を受けてしまい、そのまま州立グリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所に収監されてしまいます。面会に現れた父・承太郎から託されたペンダントによってスタンドの能力に目覚めた徐倫は、それを駆使して窮地を脱します。脱獄を目標に日々を過ごすも、投獄の元凶「ホワイトスネイク」の真の目的が明確となるにつれ、それを阻止するために敵と戦っていきます。
ジョジョのアニメ制作会社は?
ジョジョのアニメは第1部から変わらず、株式会社david production(デイヴィッドプロダクション)が制作をしています。
2007年に設立され、ジョジョシリーズ以外にも、「炎炎ノ消防隊」、「はたらく細胞」、「うる星やつら」といった有名タイトルを手掛けている中堅制作会社です。
近年のアニメ制作本数は1クール(四半期)で大体50本前後に上ります。
元々アニメの制作現場は金銭面や環境面で劣悪な事が多く、常に人材が不足している状況のため、「いかに制作スタッフの質と量を確保出来るか」が作品のクオリティ、更には作品の成功に大きく直結していきます。制作を依頼する原作側(もしくは出資元)としても、大きな博打は避けるため有名タイトルは実績がある大手制作会社へ依頼するケースがほとんどです。ですので、「ジョジョ」といった有名タイトルをシリーズ一貫して制作しているこの会社は、「安定した実績を出せる制作会社」に分類されると思います。
ジョジョ6部が酷評の理由
6部の出来に否定的な意見でよく聞かれるのは、
- 作画が良くない
- そもそも原作からして6部が不人気
という2点です。では、それぞれの理由を深堀してみたいと思います。"
理由①作画が良くない
元々、作者の荒木飛呂彦氏の描くキャラは構図やポーズもハイセンスで有名であり、アート性の高さが評価されています。
そんな素晴らしい原作をきちんと理解しアニメに落とし込み出来ていた事が、「アニメジョジョ」が評価されていた理由の一つでもあります。特に前作の第5部のアニメは、作画や演出BGMとどれを取っても評価が高かった事もあり、その後の作品だけにファンの方の評価も厳しくなっている面もあるかもしれません(作画評価が高かった第3部の後、第4部の作画が酷評されていた前例もあり)
また、作画に関しては視聴者側の好みなどもあるため評価が難しい部分もありますが、気になる点が幾つかありました。
Netflixの先行配信版とTV放映版の両方を視聴された方の意見
Netflix版では、話数によって作画にムラがあったり、モブキャラが影絵になってたり、主要人物が平面的に感じるといった意見がありますが、その後のTV放映版の方では作画が良くなったという声もありました。Netflixでの配信からTV放映までは、そこそこの期間が空いており、その間に修正が入ったのではないかとも言われています。
作画が酷評されてるのは1クール目の意見が多く、2クール目以降は好評?
上記のような作画に関しての意見は、主に1クール目のものが多く逆に2クール目以降は「作画良くなってる」といった意見がちらほら見られます。1クール目でもTV放映版で改善が見られた事も踏まえると、クオリティ面で不満はあるもののスケジュールの都合から完成を優先させた、とも考えられます。元々Netflix版は修正ありきの出来だったのではないでしょうか。
Netflixの配信について
以下が、ジョジョ6部1クール目の配信(放映)スケジュールです。
2021年12月1話~12話 Netflix先行配信
2022年 1月1話TV放映開始。以降1週毎3月までに12話放映
Netflixは全話一括して先行配信のため、当然それに合わせて全話納品がされてるはずです(遅くても11月頃?)
そう考えると制作開始自体は2021年の春頃からだったのでしょうか?
そこで、2021年の制作会社の作品年表を確認すると、
1~3月の冬クール:はたらく細胞!!、2.43 清陰高校男子バレー部
4~6月の春クール:なし
7~9月の夏クール:岬のマヨイガ(長編映画)
それ以降は2022年のジョジョ6部まで空いています。春以降はジョジョの全話納品のためスケジュールに余裕を持たせているようにも見えますが、時間的もしくは人的な事情などで制作が苦しかったのかもしれません。2クール目以降作画に関して否定的な意見があまり見られないのは、その理由が改善されたからとも推察できます。
これに限らずNetflixの先行配信作品は作画で酷評される傾向があるため、アニメ制作とNetflixの相性はあまり良くないのかもしれませんね。
理由②そもそも原作からして6部が不人気
ジョジョ6部への評価に関する客観的なデータとして挙げられるのが、2018年8月14日にて実施されたファン参加型イベント・ジョジョサピエンスの、「ジョジョで一番好きな部は?」という質問に対する回答です。
このアンケートは1万7000件の回答から結果を算出しておりますので、ファン全体の傾向を知る上で最も信頼できるデータの1つです。
第1部 ファントムブラッド 7.3%
第2部 戦闘潮流 11.2%
第3部 スターダスト クルセイダーズ 17.3%
第4部 ダイヤモンドは砕けない 17.5%
第5部 黄金の風 19.1%
第6部 ストーンオーシャン 8.5%
第7部 スティール・ボール・ラン 12.1%
第8部 ジョジョリオン 7%
結果は御覧の通り得票率8.5%でワースト3位という、6部ファンには厳しい順位となっております。
投票時点で未完だった8部、最初期の1部よりは上だったものの、支持率が1桁台に留まってしまうという悲しい結果となってしまいました。
以上より、出来に左右されたというより、そもそも評価が厳しくなりがちなアニメ化だったと考えられなくもないです。
まとめ
以上、「ジョジョ6部のアニメがひどい」といった意見に対しての理由をご紹介しました。
ざっとまとめますと否定的な意見として、
- 作画が良くない
- そもそも6部が不人気
の理由が大きく、
①に関しては、1クール目はNetflixとの相性が良くなかったのと、制作会社の制作事情が重なった可能性がある事、ただ2クール目以降は解消気味。
②に関しては、信ぴょう性の高い公式データで6部は人気がないと集計されている事から、そもそもアニメ化に向かない作品だったのでは。
今回6部で上がった不満点はこれからアニメ化されていく7部以降の作品づくりに反映していってもらい、ファンだけでなくアニメをきっかけに原作に触れる方が増えるような作品になってほしいと、期待してしまいます。